2014年9月に始まったボランティア活動は2年目に入り、授業を担当することになった。
昨年1年間、メカトロニクス教材として、テキストと実習装置を開発しており、今回はこれを使っての講義と実習である。
実習装置は、PIDコントロールを学ぶために考案した温度制御システムで、図面を作成し、学校の実習工場で製作してもらった。
スリランカでは、技術関係は、ドイツの支援による学校運営が多く、実習教材の多くがドイツから輸入されている。
今回も、教材の話をした時、校長先生から「日本から輸入しないといけないの?」と聞かれたが、「全てローカルマーケットで手に入ります」と答えた。
まず、最初に授業を行う日、少し早目に学校に行ったが、居室の鍵がかかったままで、始業時間になっても誰も来ない。
校長先生が来られて、「今日最初の授業をすることになっているが、部屋の鍵がかかったままで入れない」と言うと、慌てて電話をして鍵の持ち主を探して連絡を取ってくれた。
つまり、この日は、普段鍵を預かっているHOD(責任者)が休みを取っており、事務員に渡していたようだった。その事務員が15分ぐらい平気で遅刻するひとのようで、その日校長から注意されていた。
授業は、メカトロニクス実習室で行うが、居室から必要な教材を持って15分遅れで向かった。学生は至って真面目で、5分前には席に着くよう指導されているので、全員揃って待っていた。
英語でまず挨拶を行い、シンハラ語で自分の名前を書いた。これは前もって自分の名前だけ書けるよう練習し、反応を楽しみにしていたが、読上げるだけで特に期待するほどでもなかった。(多分、学生も最初の授業でそこまで余裕がなかったものと思われる)
私の英語が通じているのか、心配な面もあり、”Do you understand my English?” と何度か聞いてみたが、いつも首を横に振る。これはスリランカ人が「いいよ」とか「大丈夫」とかの返事をする時にする動作で、多分通じているんだろうと解釈。
質問に関しては、最初は同席してくれていたHODにシンハラ語で尋ね、通訳として頼っていたが、次第に学生自身が英語で質問するようになっていった。当然、こちらの方が私としても分かり易いのであるが、授業と違い、質疑となるとはなかなか難しいのもがある(日本語でも同じようなところがあるが)
実のところ、100ページにもなる教材テキストを作成したが、書きながら、かなりの部分を調べる必要があった。まず、日本語で調べ、それを専門英語に訳すため辞書ではなく英語サイトで確認すると言う手順。なかなか理解するまでには行かず、消化不良のままテキストを作成した。
したがって、これを講義で説明するには、幅広く理解しておく必要があり、事前準備も大変だった。質問では答えられない内容もあったので、休憩時間を利用して調べて後で解説すると言うことも多かった。
私にとって、授業を担当することも英語で授業することも初めてであるが、ボランティア活動を通じて与えられたこの貴重な経験は、楽しくて満足感の得られるものであった。